偏った情報が掲載されている賃貸情報誌


偏った情報が掲載されている賃貸情報誌ブログ:2014年05月02日


1週間前、小学生のむすめが、
「うちのおじいちゃんって、ふつうのおじいちゃんとなんか違うよね…」
申し訳なさそうに、小さな声でわしに囁いた。

「ふつうの」という表現に、
わしは吹き出しそうになりながらも、
その理由を尋ねた。

むすめは少し間をおいて答えた。
「だって、悪いことをしたら目を三角にして怒るし、
謝るまで絶対に許してくれないもん」
「ふつうのおじいちゃんたちは、そこまでマジにならないしね…」
と畳み掛けてきた。

確かにわしの父親は、
大きな身体に仁王様のような鋭い眼光で、
一見他を寄せ付けない雰囲気を醸し出している。

七十歳を前にして体力が衰えてきたとはいえ、
その風格は昔となんら変わりはない。
そんな父親を、むすめたちもまた一線を画して見ていたのだ。

わしは自分がお子さんだった頃の父親を思いだした。
厳しく、寡黙な父親だった。

筋の通らないことをしようものなら、
容赦なく大きな平手が飛んできた。
わしは無性に怖かった。

でも一方で、そんな父親を誇らしく思う自分がいた。
それは、言動の端々に
父親の人情深い側面を見ていたからかもしれない。

こんなことがあった。
かつて消防署員であった父親が
救助活動を終えて帰宅した時だった。

タバコをもみ消すしぐさに、
父親のいらだちがみてとれた。
しばらくして、父親はその理由を言葉少なに語り始めた。

洪水で溺れかけていた親子の救助に向かい、
お子さんを救おうと手を差し出した時だった。

「わしを先に助けて」と叫びながら、
お母さんがお子さんを押し退けて
ボートにしがみついてきたのだという。

「残念だ」
一呼吸おいて、父親はひとこと言った。

いざという時にこそ、
身を挺してお子さんを守るのが親ではないのか…
そんな義憤が聞こえてくるようだった。